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インプラントリスクチェッカーとは

インプラントリスクチェッカーとは『数値(根拠)に基づく歯科医療』を命題に各大学病院はもとより、一般歯科診療所においてもインプラントオペの術前スクリーニング、定期メインテナンス時の患者口腔内だけでなく体全体の状態を把握する簡易血液検査キットです。
2016年度から検査の重要性は大きな流れとなり、下記、井上孝教授の 『血液検査の勧め』
推薦文にもございます様に、歯科における血液検査は避けては通れない状況です。確実なエビデンスを取得することにより、患者のQOLの向上に役立つと共に、歯科診療所が今後地域の医療サテライトにもなり得ていくと存じます。(地域包括医療の中心としての役割を担っていく) 
 

 
 
『血液検査の勧め』
 
「インプラント治療によって口腔だけでなく心体的にも健康になれる」 とてもすばらしいことです。
しかし、説得力を持って国民の耳へ届けるためには、それがデータとして蓄積され、数値に基づく根拠が重要となります。臨床検査学的に健康の裏づけとなるのは、血清総タンパクやヘモグロビン量、A/G比(アルブミン/グロブリン比)などがあります。インプラント治療後の定期的な血液検査で継時的にこれらが増えていれば、非常に説得力のあるデータとなります。
 また、高齢化の進展に伴い疾病も多様化しています。これらの疾病に対応するために、歯科医療の提供の在り方や、歯科医療の質の向上が求められています。インプラント治療を受けた時点では健康で、インプラントもまったく問題がなかった人も、加齢・老化に伴い身体の状態も変化し、疾病に罹患し、気がつくと「インプラントも悲惨な状態になっていた」という症例も今後は増えてくるかと思われます。医科では数値化された臨床検査データが無ければ、診断も、治療も、予後判定もできません。歯科では、数値化されたデータが極端に少なすぎると感じています。やはり、歯科医師が基準を設け、統計をとっていくべきだと考えます。
 本年の9月17日に全国12の国公立歯科大学による国公立歯科大学病院会議が開催され、口腔検査センターの設置が討論されました。「数値というデータに基づく歯科医療を目指す」ことが目的で、実施した検査を患者のライフステージにおける「点」として考えるのではなく、将来を見据えた「線」として考え、定期的な検査を基に患者の現在と未来をつなぐ健康のための歯科医療を提供しようということです。特にデータの流れと言える血液を検査することは、大変重要ですが、大学のように必要な検査をすべて行えるような環境にない一般開業医では、簡便でリーズナブルな検査が必要です。そこで、まずは全身の状態が治療にも大きく影響するインプラントの分野から検査文化を広めるのが理解を得やすいのではという考えから、指先採血を推し進めることが提案されました。
 翻って、歯科医療においては「口腔」だけを診てきた時代が続いていました。しかし、患者さんのQOLの向上を目指す医療へと変革するなかで、歯科医も健康のメルクマールになるような検査値などを確認していくべき時代になってきたと考えています。これからの歯科医院は、患者が簡単にスクリーニング検査を受けられる予防医療サテライトとしての役割も担っていくべきだと思います。
 臨床検査なくして、病気の状態、患者さんの状態を把握できるはずがありません。とくにインプラント治療は他の歯科治療とは異なり、生体に挑む治療です。インプラント周囲炎などの合併症のリスクを回避するためにも、ぜひ血液検査を取り入れていただければと思います。
 
2016年 11月 10日      井上 孝
 
東京歯科大学臨床検査病理学講座 主任教授
 
日本口腔インプラント学会基礎系指導医
 
日本口腔検査学会理事長